公開日:2022/06/15
高齢化社会を支えるのに、今や欠かせない職業の1つとなっている介護士。介護士といっても資格の有無や、経験年数などで仕事内容が変わってくることもあります。今回は介護福祉士資格取得を目指したい人におすすめの資格、介護福祉士実務者研修について解説したいと思います。また、この資格を取得するメリットなども合わせて解説していきます。
国家資格である介護福祉士取得のために必須となる研修のことです。現場で質の高い介護サービスを提供することができるよう、より実践的な知識や技術の習得ができるカリキュラムとなっています。
介護職員として働くために必要な介護過程の展開や、認知症などについて学ぶことができます。また「医療的ケア」もカリキュラムには含まれており、痰の吸引方法なども学ぶことができます。
介護福祉士実務者研修ができた目的は「介護福祉士資格取得方法の見直し」が影響しています。厚生労働省の「介護福祉士・社会福祉士制度の改正について」で「近年の介護・福祉のニーズの多様化・高度化に対応し、人材の確保・資質の向上を図ることが求められているため」と記載されています。
介護や福祉のあり方というのは、社会の変化に合わせてその都度、変化していくものです。そうした時代の変化やニーズに合わせた人材や、スキルの獲得のためにできたのが、この介護福祉士初任者研修となります。
介護福祉士の上位資格は「認定介護福祉士」となっています。こちらは民間資格で2015年12月から「一般社団法人 認定介護福祉士 認証・認定機構」が認定・認証を行う資格として誕生しました。
介護福祉士実務者研修とよく似た名称に「介護福祉士初任者研修」というものがあります。こちらはいわば、介護職を志す人にとっては、入門編ともいえる資格です。一方「介護福祉士実務者研修」とは初任者研修の1つ上の資格であるといえます。そのため、初任者研修よりも一層、高度で実践的な知識や技術を習得することができます。
具体的には、介護過程の展開といった知識の習得や痰の吸引、経管栄養法といった「医療的ケア」知識の習得などがこれにあたります。
これは介護福祉士養成学校(2年以上の養成課程)の到達目標と同水準の研修内容となっております。これらの知識は、初任者研修では学ぶことができませんので、より高度で専門的な介護知識が習得できるといっていいでしょう。
介護福祉士国家試験を受験するためには、実務者研修を修了することが必須となっています。また、この実務者研修は介護福祉士だけでなく、ケアマネージャー(介護職における国家資格の1つ)や認定介護福祉士(介護福祉士の上位資格)といった資格取得においても必須資格となっているため、介護業界のキャリアアップには、欠かせない資格といえるでしょう。
実務者研修を修了すると「サービス提供責任者」という職に就くことができます。これは、訪問介護事業所などでは欠かせない職業の1つです。責任者という立場になるのでサービス提供責任者ではない、一般的な介護職員に比べて、給料アップが見込めるといえます。
また、それ以外の職種であったとしても、介護業界の給料は「資格手当」がつくことが多いので、資格の有無で給与面に差が付きやすい職業といえます。給料アップを考えるならば、資格取得者の方が有利であるといえるでしょう。
実務者研修を取りたい方のなかには、もうすでに介護士として働いている人も多いかと思います。そもそも介護福祉士受験応募条件の1つが「実務者研修の修了と3年の実務経験」なので、働きながら実務者研修を受けるというのは、とても効率的な取得方法であるといえます。
取得時期としては、介護士としてもうすでに現場経験を積んでいる人であったなら、なるべく早く知識や技術を介護者に提供することができるよう、早めに資格を取得することをおすすめします。
また、日々仕事が忙しく、なかなか資格取得の勉強や通学ができない人であった場合でも、せめて介護福祉士国家試験が行われる1月までには間に合うよう、前年の6~7月あたりには、実務者研修の受講を始めた方が良いでしょう。
実務者研修は最大450時間受講する必要があります。しかし、保有資格によっては受講時間を免除される場合もあります。例えば「初任者研修」を修了している人は、450時間の内の130時間が免除されますし「介護職員基礎研修」を修了している人は、300時間も免除されますので、残りの時間分だけ受講すれば、介護福祉士実務者研修を修了することができます。
この場合、受講期間はおおよそ1カ月で取得できるということになります。このように、受講時間や受講期間は保有資格の有無でかなりの差がありますので、実務者研修が受けられる学校で、自身の受講時間や受講期間に誤りがないよう、きちんと確認し、注意していきましょう。
介護福祉士資格取得に欠かせない、介護福祉士実務者研修について詳しく解説してみました。高齢社会においてかかせない介護職。介護現場でのスキルアップやキャリアアップ、そして収入アップの面からも、実務者研修修了は重要であるといえそうです。実際に、介護現場で働きながら資格取得を目指している人は、一度自身の資格の有無を確認しながら、無理なく学習や通学ができるよう、ゆとりをもった受講期間を計画していきましょう。