公開日:2021/10/15
日本では急速に高齢化が進んでいます。2055年には国民の39.4%が65歳以上という予想で、「1人の若者が1人の高齢者を支える」という厳しい社会が待ち受けています。そんななか、注目されているのが介護の資格「介護職員初任者研修」。どんな資格なのかわかりやすく説明します。
厚生労働省のホームページには介護職員初任者研修は「介護職として働く上で基本となる知識・技術を習得する研修」とあります。すなわち、介護の仕事に就きたいと考えている人が、最低限持っておきたい資格といえるでしょう。
介護の仕事は、利用者さまの自宅や老人ホームなどの施設などを訪問し、掃除や洗濯、買い物、調理などの日常生活を支援する「生活援助」と利用者さまの身体に直接触れ、食事や入浴、排泄のお手伝いをする「身体介護」の2種類に分けられます。
この身体介護をする際に必ず必要なのが介護職員初任者研修です。介護の資格の種類ですが、介護福祉士やケアマネージャーなど多岐にわたり、資格習得までに時間がかかるもの、資格取得の条件が厳しいものなどさまざまですが、介護職員初任者研修は介護のスタートの資格といわれており、比較的取得しやすい資格です。
以前はヘルパー2級があり、施設へ出向いて施設で実習を受けるスタイルでしたが、それにかわって、介護職員初任者研修ではスクーリング修了後の試験が課せられるようになりました。
次に資格習得のメリットをいくつか紹介します。
資格を所有していることで身体介護ができるように可能になるので、仕事の幅が広がります。また、研修を受けることで知識がつき、現場での実践、応用につながるでしょう。
資格の有無で平均給与にも差が出ています。基本給に加え、資格手当が付く場合が多いようです。
自分の家族の介護が必要になったとき、何をどうすればよいのかわからない、という声をよく耳にしますが、資格をもつことで介護の基本的知識が身につくため、それを家族の介護生活にいかすことができます。また、知識があることで、心に余裕をもって家族に接することができます。
現在、在宅訪問介護で働く人の約4割、介護施設の介護士として働く人の約3割が、60歳以上の元気なシニア層となっているようです。介護業界でもシニア層の雇用に積極的に取り組む法人が増加しているのです。
以上のような点が資格習得のメリットとなりますが、もう1つ忘れてはならないメリットがあります。それは利用者からの心からの「ありがとう」をいただけるという点です。
利用者のできないことをお手伝いするという側面と利用者ができることを増やすという側面を持つ介護。介護者にはその両方を担う重要な役割があり、その役割を果たすことで、介護者は利用者にとってなくてはならない大切な存在となります。「あなたがいてくれてよかった」「助けてくださってありがとう」介護の現場にはこんな声がたくさんあふれているのです。
初任者研修の資格を取得するには、初任者研修講座を開講しているスクールに通う必要があります。具体的には、スクールにて130時間のカリキュラムを修了後、修了筆記試験で合格する必要があります。試験問題のほとんどが、選択式となっているようです。
修了試験の合格率は90%と高く、しっかりと研修を受講し、自宅で復習し、落ち着いて試験に臨めば合格できるでしょう。この130時間のカリキュラムの受講条件や受験資格はありません。すなわち、未資格未経験の方でも資格取得ができるので、入りやすい入り口といえるでしょう。
受講項目と時間数はどのスクールも共通です。全受講項目は10項目。受講内容は、介護の知識を養う講義のほか、実際に身体を動かしながら技術を学ぶ演習で構成されています。
また、全受講時間数は前述のように130時間となっています。スクールによって、平日コースや土日コースなどさまざまなコースが設けられているようです。まずはご自身にあった無理のない範囲で通えるスクールを探すことが大切です。
土日コースであれば修了まで3ヶ月程度かかる場合もあります。しかしスクーリングと合わせて通信制を選択することもでき、その場合は、最短1ヶ月で修了できます(通信による学習時間は上限は約40.5時間と決められているため、通信形式だけで初任者研修講座を修了することはできません。スクール89.5時間と通信約40.5時間、この2つの組み合わせという形になります)。コースによって修了期間が変わってくるので、こちらもご自身の生活スタイルに合わせて選びましょう。
以上が介護職員初任者研修の資格を取得するまでの流れとなります。スクールは毎月各地で開催されており、現在就労中の方、休職中の方、主婦の方、仕事を引退された方などさまざまな方がスクーリングしています。これからの超高齢化社会に向けて、取得してみてはいかがでしょうか。