公開日:2022/09/15
高齢化の進む日本。介護の必要な人が増え、介護業界は慢性的な人材不足の状況にあります。介護の求人のなかにも未経験者歓迎や無資格OKの言葉があり、介護職に関心をもたれることもあるでしょう。この記事では、介護の資格の有無でどのような働き方の違いがあるのかをお伝えしていきます。
結論をいえば、無資格で介護に必要な知識がなく入職しても、介護施設で働くのは可能です。働きながら介護知識を身につけることや、経験を積みながら現場で学べることも多くあります。なによりも、無資格で仕事を始める場合は、自分から積極的に仕事を覚えようとする姿勢が大切です。利用者や職員とのコミュニケーションを円滑に行える能力も求められます。
ここでは、無資格でもできる仕事の内容をみていきましょう。
たとえば、デイサービスやグループホームでは、日中の活動時にレクリエーションを行います。活動の補助をすることや、利用者の話し相手になることも大切な仕事です。介護補助という職種を設けている事業所もありますが、無資格の場合は、こうした補助的な仕事に回って専門的な仕事をおこなう介護職員をサポートします。結果として、職員同士が連携して円滑に、よりよいサービスを利用者に提供できます。
普通自動車免許があれば、デイサービスの送迎業務を行えます。また、大型車での送迎場合は、添乗員として同乗し、送迎のサポートをします。デイサービスの開始前に車で利用者の自宅へ迎えに行き、デイサービスが終われば自宅まで送り届けます。利用者の家族ともコミュニケーションをとる機会にもなります。安全な運転と丁寧な対応が求められます。
無資格の人は、事務系業務をおこなえます。たとえば、来客対応、備品の発注業務、郵便物の発送、介護給付費の請求業務です。ただし、介護給付費の請求は専門的な知識が必要なので、介護事務の資格があることが望ましいです。
介護の仕事は、身体介護と生活援助の2種類に分けられます。身体介護は、食事介助、入浴介助、排せつ介助、移乗介助など利用者の身体に直接触れる介護です。生活援助は、食事の支度、掃除、洗濯、買い物、薬の受け取りなど利用者の日常生活を助ける介護です。どちらも無資格でもおこなえますが、介護の資格がないとできないこともあります。ここでは、介護の資格がないとできない仕事をみていきましょう。
訪問介護事業所で働くホームヘルパーは、基本的に1人で利用者の自宅に訪問して、介護サービスをおこないます。そのため、1人で対応できる身体介護や生活援助の専門的な知識や技術が求められます。
訪問介護事業所で働くには、まず介護職員初任者研修過程を修了する必要があります。介護職員初任者研修は、130時間の研修のなかで、介護の基礎的な専門知識や技術をひと通り学びます。研修過程修了が一定レベルの知識やスキルを有している証にもなります。
無資格者ではおこなえないことに、喀痰吸引や経管栄養があります。喀痰吸引等研修を受けた介護士がおこなえる医療的ケアです。利用者本人と家族の同意を得ていることや、医療と介護の連携体制が整っているといった条件つきで認められています。
介護の仕事は無資格でも始められますが、具体的なメリット・デメリットにはどんなものがあるのでしょうか。確認してみましょう。
無資格でも採用された場合、仕事に就くまで期間をあけずに、すぐに働き始められます。就職した職場の資格取得支援制度を利用できる場合は、働きながら資格取得を目指すことも可能です。資格取得には、費用がかかるため、資格取得支援制度がある場合、費用の一部または全部を補助してもらえるメリットもあります。
無資格の場合、最低賃金からスタートされることが多く、有資格者と給料の面でも年収に数十万円差がでることもあります。また、無資格での身体介護の仕事は、専門職の補助的な仕事を任されることが多く、介護スキルの向上に時間がかかることも考えられます。
働きながら資格取得を考えている場合、介護職員初任者研修の取得の場合でも、1か月~4か月程度の期間が必要です。仕事と学習時間のバランスを考えて、体力的にも無理のないスケジュールにしておきたいところです。
介護職には介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修、介護福祉士という資格があり、段階を踏んで出来ることも増えていきます。
とくに介護福祉士は、国家資格でもあります。介護福祉士実務者研修を受け、現場で3年以上の実務経験を積んでいるか、福祉系の高校や養成課程を卒業すると、介護福祉士の受験資格が得られます。
資格取得後は、専門的な知識やスキルを証明でき、就職・転職活動にも有利になります。また、給与面でも優遇されます。無資格からでも始められますが、介護の資格を活かして現場で活躍できるようになりましょう。
就職・転職の際、無資格で介護施設で働くことは可能です。資格の有無で仕事の幅も変わってきます。スクール等を活用して、入職してから経験を積み、資格取得を目指すこともできます。ぜひ、ご自身に合わせた方法で、介護業界でご活躍ください。