公開日:2022/08/15
介護業界の人材不足の原因の一つに、給料の低さがあげられます。専門性が必要な職業であるにも関わらず、なぜ給料が低い傾向にあるのか。その理由や実際の給料事情について調べました。介護職員への転職を検討している方、介護職員の給料に関心のある方は、ぜひチェックしていきましょう。
介護職員の給料が低いのには、いくつかの理由が考えられます。
介護職は、未経験、無資格でも働けます。そのため、高齢者の日常生活のお世話をするだけの仕事という認識をされがちです。
介護職は、利用者の心身の状況に応じて、より良い生活を送れるように自立支援をおこないます。そのため、質の高い介護サービスの提供が求められます。
専門性の必要な介護職ですが、専門性を重視されていないことも、給料が低い要因となっています。
厚生労働省の介護労働の現状によると、施設等介護職員の約4割、訪問介護員では約7割がパートやアルバイトの非正規職員です。
非正規職員は、正規職員と違って昇給が少なく、給与水準も低い状況です。この非正規職員の割合の高さが、介護業界全体の給料が上がらない一因でもあります。
統計局の2021年10月の人口推計データを見ると、日本の総人口は前年から64万4千人減少しています。
少子高齢化の流れもあり、64歳までの人口は減少傾向にありますが、65歳以上と75歳以上人口の前年比割合を見ると、65歳以上は28.9%、75歳以上は14.9%の増加です。
両年代とも過去最高の増加です。このことからも、介護の需要は急速に激減はせず、将来的にも介護職は必要な仕事であるといえます。介護職は、常に人材不足の状況にあり、無資格でも働けるため、比較的就職がしやすい職種です。
そのため、介護職全体の平均給与を上げなくても就職希望者は減らないので、給料の低い状況を作り出す一因となっています。
厚生労働省令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果から、介護職の給与月額の平均をみてみましょう。
保有資格なし27万5,920円、介護職員初任者研修30万1,210円、実務者研修30万3,230円、介護福祉士31万8,150円、社会福祉士35万3,020円、介護支援専門員36万8,030円です。
データからも、保有資格の有無で年収に大きな差が生まれています。資格の取得は、介護職員初任者研修、実務者研修、介護福祉士、ケアマネージャーと続くのが一般的です。
介護資格の取得により、一般職員から役職や管理職を目指して、キャリアアップも可能です。資格の中でも上位資格を取得すれば、基本給が高くなり、資格手当もつきます。
介護人材の確保のために、国は介護職員の処遇改善として給与を上げる政策を行っています。
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2019年から66.1%の施設が給料を引き上げています。
こうした状況もふまえて、今後も介護職員待遇は改善されていくと考えられます。ここでは、各処遇改善とはどのような制度なのかをみていきましょう。
介護職員処遇改善加算は、職場環境等要件やキャリアパス要件の条件を満たした介護施設や事業所に対して、職員の給与に介護報酬を加算する制度です。
満たしている条件が多いほど、加算金額も多くなります。介護職員のみに配分されています。
経験やスキルのある介護職員の処遇改善に、重きを置いた制度です。介護職員以外も含めた他の職員の処遇改善に充てることも可能です。
もともとは、勤続10年以上の介護福祉士を対象に月額8万円相当の処遇改善をおこなうために設立されました。令和3年度の改定で、配分ルールは柔軟化されています。
規定の要件を満たしていれば、勤続10年以上の介護福祉士がいなくても、介護職員等特定処遇改善加算を取得可能としています。
いくつかの方法をピックアップしています。参考にしてください。
前項で処遇改善加算について触れました。勤続年数を重ねれば、収入も高くなる傾向があります。また、介護技術の実力や経験値も上がります。実力次第で後輩職員を指導する仕事も増えていきます。
夜勤のある施設では、夜勤手当が支給されます。常勤の介護職員は一般的に月に4〜5回ほど夜勤に入ります。夜勤1回につき、3,000円~6,000円ほどの夜勤手当が支給されます。
資格取得をしてスキルアップをしたり、役職に就いていても思うように給料が上がらなかったりする場合は、平均年収の高い施設や、待遇の良い施設に転職の検討も視野にいれてみましょう。
国家資格でもあり、介護資格のなかでも一定の経験やスキルを証明できる資格です。就職・転職の際にも有利になります。
経験やスキルが十分あるとみなされれば、管理職への昇進も可能です。任される責任も大きくはなりますが、管理職へのキャリアアップは介護職として高収入を得る有効な手段だといえます。
介護職員の給料が低いと言われる背景や、実際の給料事情も見てきました。介護職として収入を上げる方法もいくつかご紹介しました。
国が支援する処遇改善加算の活用や、介護資格取得でのスキルアップも図りながら、ご自身の仕事にもこれらの情報を活かしていきまし