公開日:2022/05/15
少子高齢社会に突入している日本で今や欠かすことのできない職業の介護士。介護士の資格の中には介護福祉士という国家資格があります。介護福祉士になるには介護福祉士実務者研修を修了しなくては介護福祉士国家試験受験資格を得ることができません。ここでは実務者研修の費用を安く抑えるテクニックについて詳しく解説していきます。
介護福祉士実務者研修とは、介護福祉士の国家試験を受験するために必ず受講しなくてはならない必須資格のことです。平成28年度「介護福祉士国家試験」から、この実務者研修の修了が必須となりました。
それに加えて「実務経験3年」というのも受験資格条件にあるため、介護士として実際に働きながら実務者研修を受ける介護士も多くいます。ここではまず、介護福祉士実務者研修の受講費用についてお伝えします。
介護福祉士実務者研修の受講費用は、そもそも受講する人の保有している資格の種類によってかなりの違いが見られます。たとえば「初任者研修(実務者研修より下の資格で、介護職の入門資格)」を修了している人は実務者研修最大時間である450時間の内の130時間が免除されます。
さらに「介護職員基礎研修」を修了している人は300時間も免除されます。このように、持っている資格の有無で実務者研修の受講時間そのものが大きく変わりますので、受講時間が短い人はその分受講費用も安くすむケースがあるのです。
前述のとおり、所持している資格の種類やスクールの立地などによっても、受講費用に多少の違いがみられます。無資格者の平均相場はおよそ10~15万円、初任者研修取得者の平均相場は8~13万円といわれています。
ちなみに、初任者研修費用の相場は7~10万円といわれています。また介護福祉士の受験料は1万5,000円かかります。介護資格は似た名前の資格が大変多いので、自分が受けたい資格を間違えないよう注意が必要です。
一口に実務者研修といってもスクールによって費用にかなりの差があります。その理由をいくつか紹介したいと思います。
スクールを開校するエリアが都心、もしくは駅に近い立地だと、土地代や賃料も受講費用に上乗せされます。そのため、郊外や都心から遠いエリアのスクールに比べると高くつくことがあると考えられます。
しかし中には自社の建物であったり、公共施設を利用してスクールを開校し、コストを抑え受講費用を安くしてたりするスクールもあるようなので、受講費用や相場だけでなく、一度実際に自身の通学可能エリアのスクールを詳しく確認することをおすすめします。
実務者研修を受講している人の多くは、実際に介護士として働きながら時間を受講している人が多いです。そのため、急な出勤や体調不良などから開始時間に間に合わなかったり、欠席したりしてしまうこともあります。
そのための振替授業の制度や、早朝授業、夜間授業など「仕事をしながら受講しやすいシステム」が整っているスクールはその分受講費用が高くつく場合があります。
実習費用の面で料金に大きく差が出るところだといえます。実務者研修には「介護過程Ⅲ」を学ぶにあたり実習が必要となってきます。
自社施設で実習ができるところなら費用が安く抑えられますが、実習のできる自社施設をもたないスクールでは、実習のために別の実習施設を借りなくてはなりません。そのための施設利用料金などが受講費用に反映されるので、その分受講費用が高くなってしまうことも考えられます。
ここまで介護福祉士実務者研修の受講費用について解説してきましたが、できれば安い費用で受講したいのが本音ですよね。そこで、ここでは受講費用をできるだけ抑えるためにできるテクニックをお伝えします。
介護福祉士実務者研修を実施しているスクールでは、季節によって受講費用が安くなるキャンペーンをやっていることがあります。通常料金では他と比較すると割高でも、キャンペーン中に申し込むことで他よりも安くなるケースもあります。
受講時期をまだ決めていない人は、自分が通いたいスクールのキャンペーンに合わせて実務者研修を申し込むと、通常価格より受講費用を安く抑えることができるかもしれません。
「教育訓練給付金制度」は雇用保険の一般被保険者か、かつて雇用保険の一般被保険者であったかのどちらかが対象となる制度です。自分がこの制度を利用できるかどうかはハローワークの「受給資格照会」を行うことでわかります。
この制度では介護福祉士実務者研修にかかった費用の一部が戻ってきます。全額ではなく一部(約20%)であり、上限額は10万円なので注意が必要です。自分が通いたいと思っているスクールではこの教育訓練給付金制度が利用できるのかどうか、事前に確認してみると良いでしょう。
「成長分野人材育成疎遠事業奨励金」は、介護や看護などを行っている事業者が職員の質を高めるために職業訓練を行う場合に国から支払われる奨励金制度のことです。この助成金は事業主が申請する必要があるため、利用できるかどうかは施設長に確認する必要があります。この制度を利用すると1人あたり20万支給されます。
介護福祉士実務者研修についてと、その受講費用の相場、そして費用を抑えるテクニックや制度の活用法について解説しました。いかがでしたか。国からの支援が手厚いと感じた人もいるかもしれません。それだけ世の中の需要が高い業界の証拠だといえるでしょう。キャンペーンや制度を賢く利用し、専門性の高いスキルや技術を身に着けていきましょう。