公開日:2020/12/01
日本は以前から長寿大国として名高い国として知られていましたが、今後はさらに超高齢化社会となって全人口の約70%が60代以上になる見込みです。そのため、今後は介護職の重要性に関しても注目されることでしょう。この記事では、介護資格の種類や学び方について札幌を例に挙げて見ていきます。
日本で高齢化社会という現象が顕著にあらわれ出したのは、1990年後半からです。それまでは日本人の平均寿命は男性72歳、女性73歳と世界の平均寿命とさほど変化がありませんでした。
1970年代までは高齢介護施設というと養老院という施設を指し、養老院は現在でいうところの特別養護老人ホームに当てはまるものです。在宅介護・デイケアーといった手厚い福祉サービスはなく、介護を担っていた方のことはヘルパーという総称で呼ばれていました。
ところが1990年代前半になると、男女の平均寿命が82歳にまで高くなり、それに伴って在宅介護の件数も多くなっていきました。1997年には高齢介護特別措置法が制定され、ここで初めて介護福祉士・ケースワーカー・初任者研修・保健福祉士といった新たな介護士資格が登場します。
福祉サービスに至っては特別養護老人ホームだけでなく、有料ホーム・デイケアーセンター・高齢者住宅など各高齢者の健康・身体状態に見合ったサービス施設が登場するようになり、手厚い介護を受けられる社会へと日本は歩みを進めています。
2019年からは介護職の人材不足が深刻となり、政府ならびに各自治体では介護資格取得を可能にした学校の設立に、最大で80%の補助金を支給する新法案も確立させました。介護資格の取得に際しても助成金が出るので、今後は大幅に人材不足が解消されていく見通しです。
2020年8月時点で、介護資格に分類されているものは計5つあります。「初任者研修」「介護福祉士」「ケースワーカー」「保健福祉士」「ホームヘルパー2級」で、この中でも初任者研修・ホームヘルパー2級は最短1か月で資格を取得できることから、幅広い年代に人気です。
「初任者研修」とは主に福祉施設でシフト調整と利用者の健康管理を担う職種です。介護職のなかでも簡易的な事務作業を担当するのが特徴です。「介護福祉士」は利用者の介護プランの作成と、各スタッフの業務管理を担うマネージャーのような存在の職種になります。この資格は国家資格であり、専門学校や4年制大学に進学して必須科目を修了しないと資格を取れません。
「保健福祉士」も介護福祉士と同じく国家資格で、主に高齢者の健康管理を行います。持病があって服用しているお薬の管理・血圧・体温測定と管理をするため、保健士の資格を有しているのも特徴です。こちらも専門学校や大学に進学した後、国家試験を受けることが可能です。
「ホームヘルパー2級」は介護資格の中でも、2020年8月時点で全国に約150万人もの方々が取得している資格で、福祉施設で介護業務の中心を担う資格となります。介護現場で累計90時間の実務経験があれば試験が免除されるため、比較的容易に資格を取れ、働きながらでも取得しやすい資格だといえるでしょう。
北海道の大都市である札幌市は全人口100万人のうち、約70%が65歳以上の高齢者が占めています。全国屈指の高齢化社会となっている自治体で、2020年8月時点で市内には計118件もの福祉事業所が点在しています。
介護職の人材不足も深刻化しており、この問題を打開するために札幌市では2016年から独自の助成金制度を設け、介護資格学校に通う生徒に対して助成金を支給するまでに至りました。
たとえば初任者研修の資格を取得する場合、2年間の学費が約46万円となるのが一般的です。しかし、札幌市では最大で90%の助成金が支給されるため、生徒自身が負担する学費は実質約4万円になります。
この助成金の対象となるのは札幌市が認可を与えている学校のみですが、2020年現在で対象校は100校もあるので非常に見つけやすいです。通信教育課程も助成金の対象になっており、社会人が働きながら新たに介護資格を取得することにも利用できます。
助成金の申請は生徒が行う必要はなく、すべて学校が担ってくれるため気軽に利用できることでしょう。札幌の場合、福祉法人が介護資格学校の運営をなされているところが多く、卒業後の進路も見つけやすい点が魅力に挙げられるポイントです。今後は全国に普及していくだろう助成金制度で、介護職に転職する際はこの制度を活用すれば経済的な負担を大幅に減らせます。
以上、介護資格の変遷と現在設けられている資格の種類と特徴について見ていきました。高齢者の増加と介護職の人材不足は切っても切り離せない関係であり、今後ますます介護職の需要が高まります。数多くある介護資格のうち、どれか一つでも取得しておけば、社会福祉に貢献できる人材となり得るといえるでしょう。